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番 号:090-ag-001
画家名:ハーバード・ジェームス・ドレイパー
作品名:ユリシーズとセイレン/ Ulysses and the Sirens
画 像:
【絵画解説】 
ユリシーズとセイレン Ulysses and the Sirens 
サイズ: 177 × 213.5 cm  フェレンス美術館蔵
作 者:ハーバード・ジェームス・ドレイパー

 オデュッセウスは、ホメーロスの叙事詩「オデュッセイア」の主人公で、英語では、ユリシーズと言われています。
 彼は、女神アテナの加護を得て、トロイ戦争で、アキレスの鎧を手にしたり、木馬の計を考案し、アカイアの遠征軍を勝利に導きました。
 しかし、その勝利から帰還する際に、トロイ側を応援していた神々の妨害により次のような苦難の旅が待っていました。
・ ロトパゴス
 漂着した地に、心地良い眠りに誘うロトスの木の実があり、これを食べた仲間たちが次々に眠っていってしまう。
・ 1つ目の巨人キュクロプス
 この島では、巨人たちに、洞窟に閉じ込められ、仲間が食べられていく中、オデュッセウスが巨人に酒を飲ませ、目を潰し島を脱出するが、巨人の父親ポセイドンによる嵐で船が流されてしまう。
・ アイオロス島
 風の神アイオロスの島に漂着した一行は、西風ゼピュロスを詰めた革袋と逆風を詰める革袋を貰い、ゼピュロスの風で故郷を目指したが、途中で逆風の革袋を開け元に戻ってしまう。
・ ライストリュゴネス
 航行している船に大岩を投げつけ難破させ、船員を食べる巨人ライストリュゴネスに攻撃され、多くの仲間を失ってしまう。
・ 魔女キルケ
 美しい声で男を館に招き入れて、魔法で動物に変身させる魔女キルケの館がある島に到着し、り、強力な魔力を誇る彼女が支配していた。オデュッセウスは、動物にされた仲間を助けるため、魔女の館に行き、差し出された盃を飲んだが、ヘルメスから貰った解毒薬を飲んでいたため、動物に変身しなかった。このことで、キルケとオデュッセウスは、恋に落ち、仲間も人間に戻ったため、この島に長期滞在した。
・ テイレシアス
 キルケの助言で、故郷に戻るため冥界に行くことになり、そこで預言者テイレシアスの託宣を得た。
・ セイレーン
 
美しい歌声で、人を惑わし、船を遭難・難破させるセイレンの海域を抜ける。
・ スキュラ海峡
 6つの首で6人を喰らう狂犬スキュラの棲息する海峡を、仲間6人を失い抜ける。
・ ヘリオスの怒り
 太陽神ヘリオスの住む島で、彼の家畜に手を出してしまい、その怒りがゼウスを動かし、出航した船は、ゼウスの雷霆で粉々にされ、オデュッセウスのみ生き残る。
・ カリプソ
 オデュッセウスは、海の女神カリプソの住む島に漂着し、二人は一緒に生活するが、望郷の念に駆られ、彼の守護神アテナに願い、この島を離れる。
・ ポセイドーンの怒り
 息子キュクロプスを殺されたポセイドンが、順風満帆に故郷に向かうオデュッセウスの船を見て怒り、三叉の矛で嵐を起こし船を難破させるが、女神レウコテアの溺れないスカーフにより、命を取り留める。
・ ナウシカアとの出会
 浜辺に漂着したオデュッセウスは、土地の王女ナウシカアと出会い、歓待を受け、帰還のための準備もしてもらう。
・ 帰還
 帰還を果たすが、状況が一変しており、妻ペネロペに会うまでひと悶着起きる。

 この絵は、オデュッセウスが帆柱に括られ耳を塞ぎ、美しい歌声で人を惑わし船を遭難・難破させるセイレンの海域を抜ける様子を描いています。

  
   
 
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