インターネット美術館・世界の名画

【インターネット美術館・世界の名画】
このサイトでは西洋絵画史を簡単にご紹介させていただいております。

インターネット美術館資料室400-bc-007

主題名：聖ペテロ　Saint Peter

【主題解説】

　聖ペテロは、弟アンデレと漁をしていて、イエスに出会い弟子となり、使徒の中の使徒と呼ばれ、リーダー的存在でした。
　彼は、ゲッセマネの祈り、キリストの変容などの重要な場面に、大ヤコブとヨハネと共に３人で立ち合うなどしています。
　ペテロは、ユダの裏切りによってイエスが逮捕された時には、お前も教団の仲間かと問われ、「あなたの言うことは分からない、そんな人は知らない」と言って、イエスの仲間であることを否定しました。（ペテロの否認）これを裏切りととるかは、諸説ありますがイエスは最後の晩餐の時にこのような事態を容認していました。
　また、ローマでの布教活動の迫害を逃れ脱出しようとアッピア街道を歩いていた際は、反対側からローマに向かおうと歩いてきたイエスの幻影に出会い、「どこに行くのか」と問われ、殉教を覚悟しローマに戻りました。
　そこで、皇帝ネロにより捕らえられ投獄され、鎖に繋がれて十字架への逆さ磔刑に処され亡くなってしまいます。（この逆さ磔刑は、イエス程の価値は自分に無いとの理由で自分から申し出たとも言われます。）
　彼は、イエスから天国のカギというものを受け取っていたそうなので、彼を初代ローマ教皇と見做す見解もあります。

○布袋の動物を幻視するペテロ　Peter's vision of a sheet with animals
　使徒言行録によれば、ペテロrが天に祈っていると、天国からペテロの所に多くの動物を乗せた布袋が降りてくるビジョンを見ました。そして天国からペテロに対し、それらの動物を調理し食べて良いとの声が聞こえました。しかしそれらが不浄の動物だったためペテロは断りましたが、「神が清めたものに不浄と言ってはならない」という呼びかけとともに、「食べなさい」と更に２回同じ言葉が繰り返されました。
　ペテロが断ったので、布袋は天国へと引き戻されました。そこにコルネリウス（キリスト教へ改宗したローマの軍人）からの使いが現れ、ペテロに一緒に館へ行こうと促しました。ペテロは、あのようなビジョンを見なければコルネリウスとの出会いはなかったと思ったそうです。

〇聖ペテロの解放 The Liberation of St. Peter
　「聖ペテロの解放」は、使徒言行録第12章に登場します。
　ヘロデ王に投獄され、審尋される前夜、聖ペテロの前に天使が現れ、逃げなさいと言いました。
　足の鎖が外れ、牢獄のドアが開き、聖ペテロは、天使について町に向かいましたが、途中、天使が消えてしまったため、聖パウロに同行していたマルコの母親マリアの館を訪ねました。
　館の召使の女の子は、聖ペテロの声を聞くや、大喜びしてドアを開けるのも忘れ、皆に彼の来訪を伝えたそうです。
　一方、聖ペテロの逃亡を聞いたヘロデ王は、これに怒り看守を斬首させたそうです。